ホーム > 学園経営 > 特集:鷹南学園まるわかり > 第12回 「一人一人に合った学習の方法」の工夫 ~ 授業の中での支援の工夫について考える

ここから本文です。

更新日:2017年9月20日

第12回 「一人一人に合った学習の方法」の工夫 ~ 授業の中での支援の工夫について考える

リードの画像
だれにでも得手、不得手があるでしょう?
体育の得意な子がいれば、算数の得意な子がいて、絵を描かせたらすごい!という子もいる。授業では目立たないけれど、たとえば魚のことを語らせたら止まらないなんていう子もいるかもしれない。みんなとわいわい話し合うと突拍子もなくアイディアが浮かぶ子もいて、そんな子は一人静かに考えなさいといわれる間は長く辛い時間に思えるかもしれない。

「学ぶ力」をのばす~学習習慣をつけることは大事なことだと思ってもいるけれど、どうやって学習習慣をつけるの?うちの子にぴったりの学習習慣ってなに?と悩んだこと、ありませんか?

学校の授業は、多くは一斉授業です。みんなが同じ時間机に向かって、先生の話を聞いたり、問題を解いたりしています。でも、それが「一人一人の個性にあった」方法とは限りません。どうやらその問題を解決するために、鷹南学園の先生方はいろんな取り組みをしているようなのです。

「一人一人に合った学習の方法」はきっとある、みんなが同じ方法でなくていい

家庭学習も同様かもしれませんね。いったい先生方はどんな取り組みをされているのでしょう?家庭でのヒントになることはあるでしょうか?さあ、こんな時はたかみなみ先生のところへGO!
まつ:児童・生徒の特性に合わせた授業の方法について、先生方で研修を行っていらっしゃるそうですね?そのことについて教えてください。

たかみなみ先生:まず、教育支援の背景について簡単に説明しましょう。日本での教育支援の取り組みの歴史は浅く、教育支援が必要だといわれはじめてから30年ほどしか経っていません。
教育現場で「教育支援」というと一つには、固定級という形での取り組みがありますね。そして、見落としてならないのが「通常学級における支援」の取り組みです。
三鷹市で取り組んでいる支援教育の仕組みを見てみましょう。三鷹市では、平成23年度までに全校区に「歩いて行ける距離に固定の教育支援級」が設置されました。鷹南学園の場合、東台小学校と第五中学校に固定の教育支援学級が設置されています。
固定級、通級の設置と、公的なカウンセラー等の配置で、困ったときにはいろんな形で子どもたちを支える体制が整っています。教育支援に対する市全体の方針が明確であれば、先生の意識もそれに沿って変わってきます。

まつ:一人一人にあった勉強方法の重要性を先生方が意識するということですか?

たかみなみ先生:そうです。学園研(鷹南学園研究会)では、平成22年度から「支援教育」について分科会を設置して「固定級での支援」と「通常学級での支援」の2つの課題に取り組んできました(平成25年度からは、2年間三鷹市教育研究校として指定を受け、一層の取り組みを行っています)。
まず、「教育支援分科会」で、東台小くすの木学級および五中E組の担当教員と、中原小の教育支援担当教員があつまって研究を進めています。また、これとは別に、教科の枠組みを超えた課題別検討会(拡大幹事会内に設置)で、通常学級における教育支援のあり方についての研究を行っているのです。

まつ:なぜ、通常学級における教育支援が重要なのですか?

たかみなみ先生:そうです。大事なことは、「たとえ一斉授業であっても工夫次第で一人一人の特性にあわせることができる」ことです。どんな工夫ができるのか、そのヒントは意外なところにあるかもしれませんよ。

まつ:・・・というと?

たかみなみ先生:8月21日に行われた学園研究会で、興味深い講義がありました。ヒントは「教育のユニバーサルデザイン」です。CS委員の國中さんが研究会を見に来てくれましたから、彼女のレポートをみてもらうのがいいでしょう。

まつ:それは楽しみですね。さっそくお願いします。

学園研究レポート

段落$iの本文画像
学園研究会の様子
CS広報部リポーターの國中です。私は8月21日に第五中学校で行われた学園研究会を見てきました。今回のテーマは「特別支援教育について」です。講師に日野市立日野第三中学校の皆川弘樹先生をお迎えして日野市の特別支援教育についてお話いただきました。
「特別支援教育」とは、生活や学習上の困難を改善又は克服するために必要な支援を行うことで、特別支援学校や特別支援学級に在籍する生徒・児童だけではなく、通常学級に在籍する発達障がいの生徒・児童も対象になります。
どんなお子さんにも得手不得手があり、特に苦手な部分は個々に違うものだと思います。今回の内容の中で是非学習に取り入れたい、家庭でも応用できそうなことをご紹介したいと思います。
1.時間の構造化

私たち大人も同じですが、先の見通しの分からない作業はダラダラとしてしまい集中できないものですね。授業の始めに今日の授業の見通しを視覚化して黒板などに掲示する。それを見ることで「今は授業のここまで進んでいるんだ」とわかり、「あとこれくらいがんばれば終わる」…と見通して進んでいく。さらに、終わった部分に○をつけたりシールをはったりパターン化することで「終わった!」と区切りをつけると達成感につながっていいですね。

2.ユニバーサルデザイン化(大きな文字の学習プリント、計算スペースをたくさん取ったドリル)

小さな文字を目で追うのが苦手なお子さん、文字を小さく書けないお子さんは結構たくさんいるのではないでしょうか。計算ドリルの問題をノートに転記…。実はこの時点で転記ミスをしていれば問題を解く前にすでに答えは間違いとなります。また、計算スペースをたくさんとることで「書けない」ストレスは解消するのではないかと思います。

3.学習環境の工夫

気が散りやすい、集中する事が苦手なお子さんにとって、視覚・聴覚から入って来る刺激が集中を妨げていることがあります。教室では、前の方には掲示物を貼らず、後ろの掲示板を活用する。必要以外のものは後ろのロッカーにまとめておくなど、気が散りそうなものが目に入らない工夫をするのは、家庭学習させる場所にも応用できそうですね。

最後に、いつもは教える立場の先生方が生徒として講義を聴いている所を一番後ろから見ていました。先生方も勉強するのですね(笑)。普段見られない姿が見られる貴重な体験でした。
まつ:なるほど、こんなさりげない工夫で子どもたちの悩みを解消していくこともできるのですね。こんな工夫をたくさん積み上げると、子どもたちが自分で工夫してできることも増えていきそうですね。
たかみなみ先生:そうです。「こんなことに悩んでいる」に気づくこと「こんな工夫ができる」ことに気づくこと、その2つがあると、ひとりひとり違う方法で学ぶこととみんなでいっしょに学ぶことを両立させることや、実施のタイミングを別にしてそれぞれの良さを生かすことも。子どもたちによって全く別のゴールがあることを理解した上でそれぞれを尊重した授業を行うことができるようになるのではないかと考えています。「みんなが同じでなくていい」ということですね。
まつ:2年にわたって研究を行うと伺いました。是非、来年には研究の成果を教えてください。今日はありがとうございました。
後日、各学校でそれぞれに研究会で学んだことを生かして「時間の構造化」「ユニバーサルデザイン化」「学習環境の工夫」に取り組んでいると聞き、伺ってきました。

【時間の構造化】

小学校では、時間を構造化するための工夫や、ワークシートの文字サイズを需要に応じて変更するなどの工夫が始まっています。たとえば授業の流れをわかりやすく板書するために、「あいさつ」⇒「めあて」⇒「問題」・・・などのプレートを活用しています。



【ユニバーサルデザイン化】

支援学級のある東台小学校では、ワークシートの文字の大きさを工夫するなど、支援級での取り組みを応用しています。同じ授業をうけていても、ワークシートのマス目が小さいと書けないけれどマス目が大きければ書ける、スタートするのに時間がかかる、集中すると止まらない、そんな子どもたち一人ひとり寄り添える工夫をしています。


【個に応じた指導】

中学校では、小学校に比べて目に見える形での工夫は減りますが、「生徒一人一人の学びの形がある」ことを念頭に、つまずきの特徴と適切な対応方法について理解・学習を深めながら生徒の様子をよく観察して個別に声かけなどの対応を行っています。


【学習環境の工夫】

支援学級には、学習の参考になる工夫がありました。たとえば、五中E組の教室には、黒板のある壁面に殆ど掲示物がありません。教室の横や後ろの壁面には授業時間割表や子どもたちの年間目標などが掲げられていました。気が散らない工夫でしょうか。
授業の進め方にも工夫を発見。たとえば数学の授業は毎回、計算ドリルから始まります。先生が2枚のカードを掲げると子どもたちが一斉に121!とか 234!と声を上げます。どうやら2桁のかけ算をやっているようです。そのスピードの速いこと速いこと(電卓たたくより早い!)10分ほどの間に、2桁九九や四則演算などの何種類かの計算ドリルを行ってから授業に入りました。毎回の授業の冒頭で行っているというその理由について先生に伺うと、

・計算力を身につけさせるには「日々の繰り返しと積み重ね」が必須。2桁の九九を取り入れているのは、日常生活でよく必要とされる計算だから。
・授業に入る前に、目と耳と声を使うトレーニングを行うことで脳が活性化してくる。
・ドリル中に問題が難しくなってくると、メモをとる生徒が出てくる。問題と他の生徒の回答を書き留めて、目と耳と手を使うトレーニングとしている。
「1年生では難しいときもあるけれど3年生になればあのスピードでの計算が可能になりますよ、ただし、夏休みなど時間が空くとちょっと抜けちゃいますね」とのこと。



【鷹南スタンダード】

小中を通して、授業に臨むときの心構え~学ぶ姿勢、教える姿勢~の指針となる「鷹南スタンダード」をわかりやすく掲示物にしました。教室内などに掲示しておくことで、常に自分を振り返りながら授業に臨む姿勢を身につけていくことができると期待されています。家庭での学習のヒントにもなりそうですね。鷹南スタンダードについては、別の機会に詳しくたかみなみ先生からお話を聞くことにしましょう。

ではまた!(まつ)


段落$iの画像$j
時間の構造化:小学校体育での実践例(中原小)
段落$iの画像$j
時間の構造化:小学校算数での実践例(東台小)
段落$iの画像$j
子供ごとのワークシートの工夫
段落$iの画像$j
文字や行間の幅、分量を調整しています

リンク

お問い合わせ

鷹南学園