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更新日:2018年9月10日

 新しい「学園の教育目標」を読み解く2 宮城洋之副学園長に聞く

これからの時代を生き抜いていくための「学力」とは

――そもそもなぜ学園の教育目標を改定する必要があったのか、ということからうかがっていきたいのですが。

宮城:2017年に新しい学習指導要領が告示されたのですが、そこで今までにない大きな転換がありました。学習指導要領とは「学校教育で何をやるか」という内容を規定したもので、これまでは、「教師が何を教えるか」という示し方だったものが、「子どもたちは何ができるようになるのか」という、子どもたちの側にフォーカスした示し方になったんです。
実は、2007年の学校教育法改正で、初めて法的に「学力とは何か」という規定がされたんですが、その規定では学力の要素として「基礎的な知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」の3つが示されています。今回の学習指導要領はその3つの学力の要素を踏まえて構成されたものになっているんです。
学校教育というのはこれからの世の中を子どもたちが生きていくための素地をつくるのが役割です。どんな未来が待っているか分からない人生を切り拓いていくためには、「何を知っているか」だけではなく、「どういう資質・能力を身に付けるか」がより大事になります。その「資質・能力」にあたるものとして①生きて働く「知識・技能」の習得、②それらを活用する「思考力・判断力・表現力等」、③それらの原動力となる「学びに向かう力・人間性等」の3つを位置付けたのが今回の学習指導要領というわけです。これは学校教育法に規定された学力の3つの要素とぴったり合致しています。
三鷹の森学園では、これまでの学園の教育目標のなかで、“目指す児童・生徒像”を掲げてきました。しかし、開園10年目の節目を迎えるにあたり、さらに10年先を見据えて学園の教育を考えるには、「資質・能力を育む」という方向で見直す必要があったわけです。  
つまり、学園教育目標の改定は学校教育法の改正による「学力の三要素」の規定や、それを承けた学習指導要領の改訂といった全国的な動きや時代の要請に応えるといった意味もあります。
では、どうして学校教育を巡ってこのような変化が生まれてきたのかというと、これまでの10年とこれからの10年では、社会や産業の構造も違っているのではないかといった時代認識に基づいています。10年前の学習指導要領の改訂の際には「変化の激しい社会」と言われていたけれど、今回の改訂では、これから先はもう「予測困難」な時代なんだとされているんですね。激しい変化に対応するのはもちろん、何が起きるかわからない時代を生き抜いていく力をつけるとなると、教科書に書いてあることを覚えたからもう大丈夫とは言えないわけです。まったく未知の局面とか予想外の事態に遭遇したとき、うまく切り開いて生きていくためには、知識一辺倒ではなく、人間としての素(す)の力というかな。知恵を絞り、工夫して、他者と協働しながら粘り強く解決に取り組む、そういった資質・能力を育てることがこれからの学校教育に求められているんですね。

――先日、五小の内藤校長先生に資質・能力とは何ですかとお聞きして、何かができるということだけでなく、できないにしてもそれに向かう気持ちが大事であるとうかがったんですが。

宮城:その通りです。そうした気持ちも大切な資質・能力の一つになりますね。

――それ、今の子は弱いような気がしますが。

宮城:弱いからこそ、それを育てていくことがこれからの目標になるんです。

――そのための作戦はありますか。

宮城:これは学校がチームで取り組むことが必要だと思っています。学習指導要領は最初に総則という章があって、今回はそこに、求められる資質・能力を育むために教科横断的な視点から教育課程全体を組み立てていく必要があると示されているんです。そして、そのためには家庭や地域と教育の目標や計画を共有し、協力・参加してもらいながら、人的・物的な教育資源を活用して学校の教育活動の質を向上させていくことが大切であると。つまり、共通の目標のもとに「教科」「学校」という範囲を超えて連携しながら、まさに「横断的」に子どもたちを育てよう、ということなんですね。
先ほどの「できないにしてもそれに向かう気持ち」を育てていくのであれば、国語の授業ではどう取り組むか、体育の授業ではどうするのか、また、学校行事はどう計画するのか、そして家庭ではどのように子どもと関わるか、さらには地域はどうやって協力できるのか――それを「チーム」として考え、実践していくことが10年先、20年先を見据えた「作戦」になります。
もっとも、これは三鷹にとっては決して新しい考え方ではないと思います。地域と一緒に、地域の子どもたちをどう育てるか、みんなで目標や計画を共有してやっていこうという三鷹の教育に、国の教育の方向性が追いついてきたとも言えるのかもしれませんね。

(2018年7月5日、第三中学校校長室にて。取材=CS広報部)


 

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